西白河地方森林組合

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組合長のつぶやき

組合長のつぶやきNO2

組合長

 日本の杉材は、1年間に約8,000万立方育つと言われており、現在、その蓄積が約40億立方にもなっています。これは、伐採や間伐などが行われずに放置されてきたことに起因します。毎年8,000万立方育つのであれば、8,000万立方を伐採、間伐し、その分新たに植えていかないと新しい木々が育たず、森林の若返りが図れません。
 なぜ、このように山の手入れが行われなくなったのか、それは、採算の問題にあります。具体的な数字で示しますと、今、植栽して50年になる杉材を売ると大よそですが1ha当たり50万円程度にしかなりません。その1haに新たに借り入れをして植栽すると植え付けだけで約130万円掛かります。その後、7年間刈り払いした場合70万円ほど費用が掛かりますので、合わせると200万円程度になります。このように、ある程度まで木を育てるのに200万円掛かって、売る時が50万円では誰も林業をやろうと思わないのは当然です。
 山を所有していても儲からないから何もやらない、そういう環境をつくってしまったところに問題があります。山の手入れは、採算が合わないからと言って放っておくわけにはいきません。森林は、国土保全や水源の涵養、地球温暖化防止などといった多面的な機能を有しているからです。
 国は10年後、20年後の国土がどうあるべきかを考え、若い人たちにも山の大切さや重要性の理解が深まると同時に森林の整備が適切に進むよう施策を講じていく必要があります。『山に手を入れても採算が合い、見合った報酬が得られる。』、そんな社会の構築が望まれます。

2019/02/01