西白河地方森林組合

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組合長のつぶやき

組合長のつぶやきNO6

國井組合長と村松会長
國井組合長と村松会長
木造校舎廊下(愛知県設楽町立名倉小学校)
木造校舎廊下(愛知県設楽町立名倉小学校)

組合長 私が平成18年6月から21年5月まで全国森林組合連合会の会長を務めていた時、愛知県森林組合連合会の村松会長のご自宅を拝見させていただく機会を得ました。
 江戸時代末期の天保年間に建てられた築172年の重厚な建物で、歴史や時間を超越した素晴らしさに魅了されるとともに、改めてコンクリートなどにはない国産材が醸し出す日本の風土に合った木造住宅の良さを痛感しました。
 折しも、平成20年末に国産材が適切に使用されるよう規定された「長期優良住宅の普及に関する法律」が公布されたところでしたが、その現状は在来工法住宅における木材使用量の約7割が外材という事実でした。

 専門家の試算によりますと外材の輸送過程の炭素排出量は、国産材と比較して北米材で2.7倍、欧州材で6.2倍になると言われています。原油や鉄鉱石など自国での産出が少ない資源ならいざ知らず、森林資源は国内に豊富に存在するわけですから、外材の使用が7割を超えることに釈然としないのは私だけではないと思います。
 木造住宅は、第2の森林と言われるように膨大な炭素を貯蔵しています。加えて、木材は比重当たりの強度が強いうえに、断熱性も高く、調湿作用もあり、しかも材料製造時の炭素排出量が少ない優れた素材です。だからこそ、国産材の利用拡大を進めていく必要がると強く思っています。

 一方では、林業従事者が年々減少するなど全国で約5万人、しかも65歳以上が1/4を占める状況にあります。
 地球温暖化防止など森林の有する機能を高めるためには、森林整備が必要不可欠であり、そのためにも作業を担う林業従事者の安定雇用が必要です。そして木材自給率を倍増させると、山村には約10万人の雇用が創出され、定住化が進むとともに地域の活性化につながると言われています。
 林業経営が成り立つためには、当然ですが収入が支出を上回らなければなりません。山側では、支出を削減するため低コスト林業の推進を図っているところですが、やはり一定以上の木材価格が見込めることによる安定した収入の確保が最も重要になります。しかも、木材は捨てるところがないのですから、建築用材から紙パルプ用材までハウスメーカーや製紙会社などがいかに国産材を利用してくれるかにかかっていると思っています。
 それには、森林組合系統一丸となった努力の結集はもちろんのこと、行政をはじめ消費者の皆さんの理解と協力が必要となりますので、ご支援のほどをお願い申し上げます。

2019/09/01