西白河地方森林組合

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組合長のつぶやき

組合長のつぶやきNO8

組合長 昨年の9月に「農山村の新しいモデル」として注目を浴びている群馬県・川場村の取り組みを視察してきました。同村は平成27年4月に村や森林組合などが出資して「㈱ウッドビレジ川場」を設立し、外山村長が社長に就任しました。 この会社は、「森林を活かし地域を興す」をスローガンに「森林を重要な地域資源と位置づけ、持続可能な地場産業の仕組みを作り、さらなる村の振興につなげていく」ことを目的としています。

 

 具体的には、製材事業、発電事業、温室事業という3つの事業を柱とする「木材コンビナート構想」を展開していて、間伐材を利用した燃料用のチップ製造や学校机の天板の制作、村有林の整備によるCO2削減に取り組んでいます。

 また、木質バイオマス発電では、平成28年2月に東京の世田谷区と「川場村における自然エネルギー活用による発電事業に関する連携・協力協定」を締結し、電力の売電やオリジナル木材製品の販売などを行っています。

 さらに、木質バイオマス発電からの排熱を利用した温室農業では、イチゴを栽培し、隣接する道の駅で販売するなど、森林資源を持続的に活用しながら環境保全と経済性が両立する農村における新しいモデルとして注目されています。

 川場村がなぜ豊富な森林資源を活用した木材コンビナート事業による林業振興を推進できているのかといいますと、同村は利根沼田森林組合に属していて、同村の外山村長が同組合の組合長を兼務していることが大きいと思われます。外山村長は長年、同組合で参事を務めた後村長になり、昨年6月に組合長に就任しました。

 視察の際、外山村長と1時間ほどお話しさせていただきましたが、行政と森林組合が一体となって地域振興に取り組んでいることを強く感じました。首長が森林整備の重要性を熟知しているメリットは、施策の中に将来の森林の在り方、必要性を組み入れていくことができる点にあります。

 

 本県の場合、行政の長や県議などが森林組合の組合長に就任することにはいろいろと制約があり、発注者と受注者が一緒になってしまうということで伝統的に兼務しないようになっています。

 ただ、全国各地をみると、首長や県議会議員が森林組合長を兼務している例はかなりあります。私が全国の会長を務めていた時は、静岡県の掛川市長が森林組合長を兼務していましたし、国会議員が組合長を務めていた事例もありました。本県でも、かつて参議院議員だった鈴木省吾さんが組合長を兼務していました。

 このように、行政の長や県議が森林組合の役員や組合長に就任するようになれば、森林の整備が一気に進んでいくのではないかと思われます。まして、昨年成立した森林環境税は約600億円の税収が見込まれており、これらの税金はすべて森林環境譲与税として市町村と都道府県に譲与され、山林の間伐や林業界の人材育成、担い手の確保、木材利用の促進などに充てることとされています。

 森林の整備は、未来永劫継続していく必要があります。政治家が森林整備の重要性を熟知していることは、地球の宝物である森林を守っていく上で、行政の長や県議が森林組合の組合長、役員を兼ねることの意義は大きいと思います。

 昨年10月の台風19号で本県は、全国で最も多い30人の犠牲者を出し、農林業関係の被害額だけでも約620億円に上ると報道されました。今回のような想定外の災害の発生は、地球温暖化が大きく影響していると言われています。そういう意味でも、CO2を削減する森林をきちんと整備していく政策は非常に大切です。世界全体のCO2の発生は想定の約3倍の速さで進行していると指摘されており、これを抑止していくためにも、行政と森林組合が一体となって「森林整備」に取り組んでいくことが必要不可欠です。

2020/1/15