'UA-130572537-1'); 組合長のつぶやきNO9|西白河地方森林組合

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組合長のつぶやき

組合長のつぶやきNO9

組合長 昨年9月に山形県南陽市の「シェルターなんようホール(南陽市文化会館)」を視察してきました。この文化会館は、日本初となる大型木造耐火の文化ホールとして平成27年10月にオープンしました。中でも、メーンの大ホールは「最大の木造コンサートホール」として、オープンした年の12月にギネス世界記録に認定されました。
 木造の文化会館建設にあたっては、同市の面積の約6割が森林であるにもかかわらず、林業の衰退で地元の木材が有効に活用されていないという状況を踏まえ、当時の市長が「地域の森林資源を活用すれば、地元経済に効果をもたらし、管理の行き届いていない森林の保全が期待できる」として地元産の杉を使用して建設することを決断したそうです。
 総事業費は約66億8,000万円で、その内訳は国からの補助金や交付金が32.9億円、基金積立が8.6億円、そして地方債と一般財源が合わせて25.3億円で賄ったそうです。担当者からは、「地域材の活用により産業振興と雇用創出に大きな成果が得られた」との説明を受けました。
 同文化会館を視察して私が強く感じたことは、国産材の需要拡大には首長をはじめとする行政の「国産材を積極的に活用していこう」という意識が非常に重要だということです。平成29年度の「低層の公共建築物の都道府県別木造率」をみますと、本県は全国平均の27.2%を上回り28%になっているものの、東北・北海道地区では一番低く、全国47都道府県の中でも下から16番目となっています。県土の71%を森林が占めているにもかかわらず、東北地区では山形や宮城県よりも低いのです。できれば、本県も南陽市のように国産材、地元産の木材を活用して地域振興に活かしていこうという意識をもって、ぜひ、東北・北海道地区で木材の使用率がトップになるよう取り組んでいただきたいと願っています。

 

 山林を伐採して木材を活用しないと新たな木の苗を植えることができませんし、新たな苗を植えないと未来への展望が見えなくなります。つまり、人間の少子高齢化と同じく社会の担い手が減少していくことになり、木々も老木だけになって活用できなくなってしまいます。こうした推移にどこかで歯止めをかけ、改善していくようにしなければなりません。そうしないと、昨今発生している台風被害による山崩れや水害などが今後も頻繁に発生していくことになるのではないかと危惧しております。
 インドネシアが昨年8月、首都を約1000万人が暮らす今のジャカルタからカリマン島の東部へ移すことを発表しましたが、これは地球温暖化の影響で毎年、25㎝ずつ地盤が沈み500万人もの人たちが住めなくなると予想されることが大きな要因だと指摘されています。この事例1つ見ても分かるように、地球温暖化にどのように対応していくかが世界全体の課題になっています。
 地球温暖化の要因である二酸化炭素(CO2)を排出しないことは大切ですが、同時に、二酸化炭素を吸収する役割を果たしている森林を整備していくことも重要ですので、森林に対してもっと関心を持っていただきたいと強く願っています。例えば、復興・復旧に1億円を要するのであれば、そのうちの1割を森林再生に活用するようにしていけば地球温暖化の抑止に貢献することになり、台風被害による山崩れや水害などの防止にもつながっていくものと思っています。

2020/3/1