西白河地方森林組合

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組合長のつぶやき

組合長のつぶやきNO12

組合長 先月3日、九州を中心に西日本から東日本にかけて降った雨は、局地的に猛烈な雨となり、河川の氾濫や土砂崩れ等が発生し、8月4日現在で亡くなられた方が82名、行方不明が4名、避難者は1,500人を超えるなど大変な状況になっています。
 亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災した全ての方にお見舞申し上げ、一刻も早く通常の生活に戻れるよう願っております。

 さて、新型コロナウィルス感染症の影響により、世界中の産業の経営状況が大幅なマイナスとなっています。日本国内の自動車メーカー8社をまとめた5月の生産台数が61.6%減の91万2千台になっていると日経新聞で報道されていました。木材の価格も各種産業と同様に、コロナウィルスによる先行き不透明感から低位安定で推移している状況です。
 材価が下がると言えば、当組合が管理している山林の中に、今から55年前に分収造林契約をし赤松を植えた4ヘクタールの国有林があります。分収林とは、契約により山に木を植えて、成林後に木を販売し、その収益を一定の割合で分収する制度のことで、昭和40年当時は、木材の価格も高く、林業にとって条件の良い時代でした。私は当時先輩から「将来、木材を売って豊かになれる」と言われ、懸命に植林を手伝った記憶があります。
 今年になって、すでに伐期を迎えていることから、改めて森林調査を行ったところ、松くい虫が入り込んで山は荒れていました。試算してみると、搬出道路が狭く距離が長くなることなどから、立木を伐採して搬出すると収益がマイナスになることがわかりました。55年前に見た将来像は、すべて消え去ってしまいました。
 それでも、すべての生態系の源である森林は守っていかなければなりません。地球の生き物は森林無くしては生きられません。国土の2/3を占め、水源の涵養や地球温暖化の防止、生物多様性の保全など、森林は多くの機能を有しており、林野庁の広報によればその効果は価格に換算して年間72兆円とされています。2019年度の日本の税収が62.5兆円と言われているので、森林は日本の税収以上の働きをしていることになります。
 「地球を守る宝物」である森林を良好な状態に維持していくため、我々森林組合は今後も先頭に立って活動して参ります。

2020/8/7